エンジニアtypeを卒業します。

僕が勝手にすごいなぁと思っている人が「IT業界の転職エントリー気持ち悪い」と書かれていて、まさに昨日の夜中書いていたのでうっかり消してしまおうかと思ってしまった。

でも、思い返すと「ブログを書く行為」自体が気持ち悪いことであり、それでも内から溢れ出る何かを表現したいがためにWebという大海原を冒険するのがわれわれ人間なんだ。もともとが気持ち悪いんだから仕方ない。つまり、自己満って大事ですよねと自分に言い聞かせている次第でございます。といっても、何から話せばいいのかよく分からず長くなってしまいそうな予感がプンプンしている。

7月31日付けを持ちまして、キャリアデザインセンターを退職させていただき、エンジニアtypeを卒業いたしました。そして今日、会社の皆さんに送別会を行なっていただき、「あぁ、本当に退職したんやなぁ」と実感し始めています。東証一部上場おめでとうございます。

ちなみに7月31日には、同期のみんなが派手に送ってくれました。君等がいたから僕もここまで頑張れたのは、言わずもがなです。

ということで、これまでかかわってくださった皆さまに感謝の気持ちを込めて、Web業界らしく「退職エントリ」を、備忘録的につらつらと書き連ねてみたいと思います。

コンプレックスしかなかった

僕のこれまでの社会人生を振り返ると、これに尽きます。「コピーライターになりたい」と強く思っていた学生の僕は、友人の影響でキャリアデザインセンターに入社しました。マス広告に未練のあった僕は新卒で契約社員。同期の皆がハイスピードで成長する中、志していた業界とのギャップを感じる僕はくすぶっていました。

でも、求人広告を作っていた当時は、自分に甘く努力はあまりしなかった。環境のせいにするのは簡単だけれども、「オレはまだ本気を出してないだけ」状態で、会社に言いたいことは言うものの、仕事の面で自分が胸を張って言えるくらいの努力はしてきませんでした。周りに対するコンプレックスだけでなく、そんな弱い自分に対するコンプレックスも強かったなぁと、今振り返ると思います。

「もう次の会社に行こうかなぁ」

僕の仕事人生を180度変えたのは、そんなことを思っていた矢先の、突然の異動でした。

死にたいと、少しだけ思ったエンジニアtype1年目


IT業界のめまぐるしい変化と発展を受けて、ソフト・ハードを問わずエンジニアのキャリアを考えるWebメディア『エンジニアtype』が創刊した2011年4月。ちょうど同じ時期に、僕はエンジニアtype編集部へ異動したのでした。自分の編集者のキャリアは、エンジニアtypeの成長とともにあると言っても過言ではありません。

しかし、正直ネットのことに興味も関心もなく、むしろアナログ人間だった僕は、本当に苦しみました。中にはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で初めて担当させていただいた特集記事のコラムで大炎上し、無知すぎて渋谷道玄坂に居を構える某Web企業のCTO取材で怒られたり、当時中学2年生だったスーパープログラマーからメールでありがたい言葉を頂戴し、さらには媒体存続の危機になりかねない事件まで巻き起こし…。波に乗りかけていたエンジニアtypeに水を差すかのように、ことごとく失敗しました。

一時期、WebとかITとかが真剣に嫌いになりました。クビになっててもおかしくないし、自分にはもう後がない。そんな思いで迎えた2年目は、自分で言うのもおこがましいけれど、ものすごく成長しました。何というか、悔しさをバネに、「今までクズやった自分を見返して、エンジニアtypeを誇れるメディアにしよう」と必死になったのです。

人間、追い詰められるとやるしかないと思えるらしく、それはもう、本当に頑張りました。いろいろなことも重なって、2011年4月の創刊から翌年3月までずっと目標達成できなかったエンジニアtypeが、2012年4月のリニューアルを機に、毎月目標を達成し続け始めました(今も続いています)。

達成が続くと、自分のやってきたことに対して自信がつき始めます。自信がつき始めると、自分とともに育ってきた媒体に対しても誇りや愛情が芽生えます。僕の社会人人生におけるコンプレックスが、昇華した瞬間でした。

感謝を述べようとしたら、涙が止まらない病気を何とかしたい

編集部でどんだけヘマをしても使い続けてくれた福井さん。後から立ち上がった姉妹サイトWomantypeを苦しみながらも大きくしていった岩河内さんと根本さん。メディアの成長とともに裏側で環境の整備をしてくださった鶴田さん。僕の退職にともなって移動してきた佐藤健太くん。同期のくせに兄貴ヅラしてた桜井。色んな人にささえられて、僕の今があります。本当に感謝しかありません。

そして最後に、健吾さん。編集者としてクソミソにもなり得なかった新人時代から、辛抱強く育ててくださいました。自分で考えた年末特集企画を、自分のせいで進捗が遅れていたにもかかわらず徹夜してくださって、しかも当の本人が先に寝てしまうという失態を犯しながらもまったく怒りませんでした。どんだけ生意気なことを言おうが、怒ることはありませんでした。マザーテレサですかあなたは。お陰で今、ふてぶてしくも素直に成長した僕がいます。ありがとうございます。

本来であれば、みなさんの目の前で直接お礼を言いたいのですが、感謝を伝えようとすると自動的に涙腺が緩んじゃうんですよね。くそ、ポンコツめ。だから、恐縮ながらもブログでお伝えいたします。

組織の人間というより、個人名で勝負したい

今は、縁あってコルクという、作家さんやマンガ家さんの編集エージェント会社さんに自ら志願してインターンをさせてもらっているのですが、無茶苦茶楽しくやっています。色々と、喜んで雑用をやりながらも、マンガ家さんとの打ち合わせに同席させていただいたり、取材にちょこんと居座らせていただいたりしていますが、大抵のことにはビビりません。雑務は以上に緊張するんですけどね。それもこれも、エンジニアtypeで場数を踏ませてもらったからだと思います。

そして、9月からはスクーというオンライン生放送Webベンチャー企業にて、コンテンツの企画・編集の仕事に就かせていただくことになりました。まったく興味なかったWeb業界で、しかもベンチャー。何を間違えてこんなトコロにいるんだと、時々思いますが、それも人生かな。色んなうねりの中に飛び込んだほうがおもしろいんじゃないかと思えるようになったのも、エンジニアtypeのおかげです。

仕事の内容が、「記事を書く」から「動画を編集する」に変わりますが、「誰にどんなことを話してもらうか」というような、根本の部分はほとんど変わらないと思っています。これまでの経験を存分に活かして、暴れ回りたいと思います。Get Successやで。

「やりたいことができなかったら辞めたら?」とか、「失敗したら逃げればいい」とか、最近では選択肢の幅が本当に広がりました。でも、目の前のことに対して悩みながらもやり続ける、食らいつくことも、やっぱり大切なんじゃないかなぁと、5年4カ月の短い社会人生活で感じています。

道を拓くのは、常に自分の意志と選択で。

エンジニアtypeで取材させていただいた多くのトッププレーヤーから、僕が学んだ一番の考え方です。本当に尊敬する人たちばかりでしたが、ほとんどの人たちが、どんなに苦境に立たされても、自分の意志で、自分の選択で道を切り拓いていました。これからは、組織はもちろんのこと、「小禄卓也」という人間としても、色んな世界で勝負できるように、ふんどしを締め直そうと思います。

改めて、今までかかわってくださった皆さまには、クソお世話になりました。長くなりましたが、今後とも、まだまだ未熟な小禄卓也と、エンジニアtype、Womantype、コルク、スクーをどうぞ宜しくお願いいたします。

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